Hace sol.


いつもは、素直になれない。
思っていることと違うことを口走って、失敗したと思っても、更に余計な事を口走ってしまって、後で後悔している。
弟みたく、素直になれない。
昔それは個性って教えて貰ったけれど、劣等感が消えるわけじゃない。
それでも。
今日くらいは勇気とか色んなものを振り絞って、伝えたい。
だって特別な日なのだ。何よりも、何よりも。

「スペイン」
呼びかける声が震える。
同じベッドの中で、日付が変わったことを確認して、少し眠たそうな彼のほうを見上げる。
眠れんのか、と尋ねられて必死に首を振った。
体中の血液が全て顔に集まっているのかと思うくらい熱い。
どうか、この薄闇の中で、スペインがこの真っ赤な顔に気付きませんようにと祈りながら、必死に言葉をつむいだ。
「あの、な。スペイン」
やっばり緊張して、若葉色の瞳を直視することはできない。けれど、少し俯きがちになってしまった自分の話何も言わずに聞いてくれた。
「・・・・・・ありがとう。」
ありがとう。感謝の気持ちを全て言葉にする事はできないけれど、少しでも伝えたい。
「生まれてきてくれて、ありがとう。スペイン」
貴方がこの世界に存在する事の奇跡を、尊さを、改めて感じたのは貴方のその腕に抱かれた時でした。
確かな温もりが、確実に体を包み込んで、どうしようもなく泣きたくなったあの瞬間。
今なら分かる。
あれは、感謝でした。
貴方と言う存在を育んでくれた、全てのものに対しての。
小さな小さな自分が発する、ありがとうの気持ち。

どうか、このままずっと一緒に。
どうか、健やかであるように。

どうか、その手を取って、共に歩いてゆけますように。


ありがとう、と優しい声がして背中に回った腕に力がこもった。
心臓の鼓動が、聞こえる距離。
これから先も、この音が聞こえる距離で貴方とすごして行けますように。

¡Feliz cumpleaños!







2008/02/29