「何食ってんだ?」
「あ、これー?」
モノを咥えたまま喋る時特有の、何とも間延びした声が返ってきた。
ほい、と言って丸い何かに棒がついた物を渡される。
「うちで作った新商品らしいで」
「・・・・・・飴?」
「かわえぇやろー」
確かに、可愛らしいデザイン。女の子が好きそうだなと思う。
大きめのソファーに座っていたスペインの隣に腰を下ろして包み紙を開け、口に入れてみた。
「甘っ」
「そら飴やもん」
そりゃそうだよな、と思いつつ棒に手を添えて結構大きな飴を舐める。
隣でスペインも同じ様に飴を舐めていた。
ふと耳をすますと、カチ、と何だか聞きなれない音が聞こえる。
いったい何の音なのか、判明するまでに数秒。
舐めている飴が歯に当たっているのだ。
まるで口付けた時、歯と歯が触れ合うと生じる音のように。
飴から唇を離す際に、チュっと、軽いキスの様な音もする。
唇についた溶けかかった飴独特のべたべたとする感覚を拭う為か、時折赤い舌が顔を見せる。
扇情的、とはこういう事を言うのだろうか。
スペインは、普通に飴を舐めているだけだろう。
けれど一度意識してしまうともう気づかない振りなんてできない。
昼間っから何を考えているんだ自分は、といたたまれなくなった。
「もうこの飴禁止!」
「は!?どないしたんロマーノ?」
唐突な自分の発言に、わけが分からない、という表情をしたスペインをその場に残して、火照った顔の赤さを気づかれないように足早に部屋を出た。
「・・・・・・変なやっちゃ」
突然の行動が、まさか自分が今咥えている飴が元凶だなんて想いもしないだろう。
lollypop/lol・li・pop
【名】
T:棒の先につけたキャンディー、ペロペロキャンディー
U:《英口語》(ロリポップ形をした横断歩道の)「止まれ」の交通標識
lollypop
親分が持っているのはチュ○パチャプス