soleil

僕の視線の先には、君がいた。

楽しそうに、笑う君が。


「この間は、随分楽しそうだったよね」
「……」
黙り込まないでよ、と言ったって何の効果もない。
楽しそうに3人で馬鹿騒ぎをしているところを目にしたのは、ほんの数日前。
韓国と日本と、君が、それはそれは楽しそうに笑いあっていて。
自分の家の庭からその姿を眺めていて、羨ましいと思うと同時に何とも言えない気分になった。
「…日本君は可愛いもんね」
「そうある。日本はすげー可愛いある。でもてめーには指一本触れさせねーある」
彼の、あの小さな子の溺愛ぶりは今に始まったことではないけれど。

面白くない。

「日本君は可愛いけど、君の方が可愛いよ?」
「寝ぼけてるあるか?」
ああやっぱりつれない。
僕には皮肉な嘲笑しか見せてはくれない。
仮に日本は別としても、あの馬鹿みたいに明るいやつにまで笑顔を見せているのが気に食わない。
彼らの結びつきには、到底敵わないんだと嫌と言うほど思い知らされるから。
別に韓国君は好みではないけれど、この際自分が貰ってしまおうかなんて考えていたら、眼下から声がした。
「何呆けてるあるか」
薄気味悪い、と続けられつくづく自分には辛い人だと思う。

「君が笑ってくれないから悪いんだよ」

頭の中で、例えば韓国を僕のものにしたら君はどんな顔をするだろうか、と考えた。
泣くのだろうか。
怒るのかもしれない。

彼の笑顔は勿論見たいけれど、泣き顔だってすごく好みだから、どっちも捨て難い、なんて。
とりあえず、君は僕以外に笑顔を見せる必要は無いよ、とだけ言っておいた。