気付いて、気付かないで
相変わらずの、子ども扱い。
きっとアイツの目に自分は何時までも幼い頃のまま映るのだろう。
背も伸びたし、声変わりだってあったのに。
そんな外見的成長は何の意味も持たないんだ。
小さい頃の自分を知っている相手だからこそのコンプレックス。
アイツは出会ったときから既に年上だったし、当然自分は年下だった。
どんなに足掻いたってこの事実は変えられない。
背が追い付こうと何だろうと、一生、アイツは俺より年上で。
例えば若し、万が一アイツが滅んだりしたら歳月だけはアイツの上を行くかもしれないがそんなのは論外だ。
嗚呼、何で俺はアイツより先に産まれる事ができなかったんだろうか。
なんて。
そんな仕様も無い事を考えたりしてる自分が情けない。
まぁ、泣き言も言いたくなる。
久しぶりに顔を合わせたアイツは、さも当たり前のように俺の頭をなでた。
そんなのただのスキンシップで挨拶だって思ってしまえばそれだけなのだけれど。
普通の友人にそんな事はしない。
些細な事で俺とアイツの関係を、改めて認識させられたようで嫌気がさした。
いつまで、子ども扱いなんだろう。
いつまで、こんな気持ちを抱えたままなんだろう。
何時からかなんてもうわからない。
嘘。
本当は覚えてる。けど言ってなんかやらない。
とにかく、俺はアイツが好きだ。
認めるのは癪だけど。
気の遠くなるくらいの、時間を。
アイツと一緒に過ごした。
それは瞬く間の様で、でも永遠に近い様な時間だった。
共に過ごした生活の中で分かったのは、アイツは極端に鈍いという事。
何度か俺は「好きだ」って、口に出したのに。
「俺もやでー」とか言って、軽く流されてしまった。
アイツの俺に対する「好き」は、例えば自分の子供とか弟に対するモノとよく似ていると思う。
でも、俺の「好き」はそんな意味じゃ無いんだ。
それに気付いてもらえない。
俺のこの不毛な片思いは、いつまで続くんだろう。
鈍いオマエなんか大嫌いだ